ビバラックレポート07
医療法人 全心会 豊中ひかり病院 様
豊中ひかり病院です!
豊中ひかり病院看護部長 山本真由美様
豊中ひかり病院は大阪府豊中市を南北に縦断する阪急宝塚線沿いに位置する救急指定・労災指定病院で、阪急「服部」駅より歩いて2分の交通の便も良い、好立地にあります。当医院はかけがえの命を守るため24時間365日の診療体制を昼夜問わず迅速に対応できるようなシステムになっております。搬送されてくる患者さんは高齢者の方が多く、骨折・肺炎・脱水・低栄養で入院される方も珍しくはありません。医療の現場にも「歯科」という理事長の方針で、2年前に専門的口腔ケアを担う歯科衛生士が採用され、現在関連各病院・施設にそれぞれ1名配置されています。高齢者の中には長期の入院滞在、さらには精神的ストレスなどによって食欲が低下、栄養不良状態に陥り極端にレベルが低下して、ターミナルケアをむかえられる場合もあります。逆に挿管(人工呼吸器)された方が食べられる口に改善されることにより機能回復し在宅施設へ退院されるケースもあります。
このように口から栄養を摂取することも大変重要な治療の1つです。また誤嚥性肺炎予防のためにも口腔ケアは不可欠な要素と思われます。豊中ひかり病院では感染を防ぐために75歳以上の患者さんを対象に2ヶ月に1回の咽頭培養検査を全員に実施し、対処をしております。
学校概要
学校概要 | |
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名称 | 医療法人 全心会 豊中ひかり病院 |
住所 | 〒561-0859 豊中市服部豊町1−5−2 |
電話番号 | 06-6865-1313 |
WEBサイト | ひかり病院グループURL http://www.hikari.or.jp/ |
交通 | 阪急電車「服部」駅下車西へ約2分 |
施設の類型 | 救急指定 労災指定 |
理事長 | 切東 喜久夫 |
敷地面積 | 852.89m2 |
建物規模 | 鉄筋コンクリート 5階建 |
病床数 | 103床 |
診療科目 | 小児科・整形外科・外科・内科・循環器科・消化器科・呼吸器科 泌尿器科・皮膚科・リハビリテーション科・放射線科・各種精密検査 |
診療時間 | 平日:AM9:00〜12:00 PM2:00〜5:00 PM6:00〜8:00 土曜:AM9:00〜12:00 PM2:00〜5:00 日・祝 休診 以上を原則として24時間受付 |
病院の方針・目標 | |
「安心」「信頼」 | |
「ひかり病院」マークの由来 | |
「ひかり」の名前には二つの意味が込められています。 一つは地域に医療のひかりをという願い、もう一つは太陽と月のひかりを表し、昼も夜も24時間受け入れ体制を整えていることです。ひかり病院共通のマークは、この太陽と月をイメージしたものです。 |
豊中ひかり病院での歯科衛生士採用について
ビバ子 (以下 ビバ子) |
病院で専門的口腔ケアを担う歯科衛生士が採用されることはあまり例がないかと思いますが、こちらの病院に歯科衛生士を採用されたことについて教えてください。 | |
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杉原
主任看護師 (以下 杉原さん) |
これまで専門的な口腔ケアを担う歯科衛生士の採用はありませんでしたが、2年前に医療の現場にも「歯科」という理事長の方針で今川歯科衛生士が採用されました。現在関連各病院・施設にそれぞれ1名配置されています。 | |
ビバ子 | 関連病院、施設に各1名づつ配置されていることはすばらしいことですね。 では、まず今川歯科衛生士が採用されて口腔ケアがどのように変化したか教えてください。 | |
杉原さん | まず、ケアをするときに一番気になっていた口臭を感じなくなり、肺炎の患者様が少なくなりました。 また、今川歯科衛生士の口腔ケアの姿や、話を聞くことにより、口の中をきれいにすることだけではなく、食事の形態、すすめ方を考えるようになり、看護師全員が口腔ケアの必要性、重要性を再認識し積極的に行うようになりました。 |
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ビバ子 | 以前に今川歯科衛生士に半日同行させて頂きましたが、その際に私も口から食べることの重要性を改めて教えて頂きました。 またそのとき、看護師の方が今川歯科衛生士に食事のことを相談されていたので、今川歯科衛生士は皆さんに頼られているなぁ と思いました。頼りになりますね! では、今川歯科衛生士へ何か期待することなどありましたら教えて頂けますか? |
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杉原さん | そうですね、たくさんありますが、その中でも誤嚥リスクの高い患者様などへの経口摂取の援助の方法や食事の工夫など看護師に出来ることをもっと教えて欲しいなと思います。 | |
ビバ子 | 今川歯科衛生士を中心にお口から健康が広がっていくといいですね! 最後に一言お願いします。 | |
杉原さん | 今川歯科衛生士が入職されて口から摂る栄養の大切さ、重要さを教えてもらいました。これから進む高齢化社会、患者様のQOLを考え、看護師として出来ることを実行していきたいと思います。今川歯科衛生士がその「きっかけ」を作ってくれた人です。感謝しています。 |
この人に注目
氏名 | 今川 紀恵さん | |
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役割 | 歯科衛生士 (病院全体における 入院患者様への口腔ケアを担当) |
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経歴 | 歯科衛生士として歯科診療所で勤務をされてましたが、歯科に止まらず、より幅広く口腔ケアに取り組みたいとのご希望から現職を担当されています。 |
INTERVIEW
ビバラックを選んだ理由は??
病院内を巡回する
今川歯科衛生士
元々ビバラックは前職の歯科医院で使用していました。ハンディーな大きさながら充分な吸引力があり、また操作性にも優れているので安心して口腔ケアに取組めるという点でビバラックを選びました。また豊中ひかり病院では1日に約60名の患者様の口腔ケア行うので手軽に、安全に使用できるビバラックは必要だと思い入職時に、病院にお願いをして購入してもらいました。
ビバラックの良い点は?
吸引力の強さです!
口腔内に残った大きな食渣や唾液を吸引してくれるのはもちろんですが、入院患者様で痰が多い方や、痰が口腔内にへばりついている方の口腔内の痰を除去するときに大変助かります。病院にある痰を吸引するサクションよりビバラックの方が粘着性の痰などは簡単に取り込むことが出来ます。
ビバラック改良点は?
ミニ歯ブラシを活用する事が多いのですが、場合によってもっと小さい歯ブラシがあると便利だと思う事があります。また、病室で使用する際にはもう少し音が小さいと良いと思います。
豊中ひかり病院の口腔ケア
ビバラックを使用した口腔ケア
「入院をして口の中がきれいになったのは初めて、これまで歯茎が腫れることが多く困っていました」とご家族より。
Q.口腔ケアを行う際に心がけていることは?
・その日の全身状態の確認
・表情の確認
・声がけ
・寝たきりの方、うがいができない方など患者様の状態に合わせたケアの方法
・誤嚥させない様な姿勢とビバラックの吸引を利用すること
ビバラックを使用した口腔ケア
手術当日。前日からの絶食と緊張で口腔内は乾燥状態。しかし、今川歯科衛生士の口腔ケアとトークで リラックスされた様子。
ビバラックを使用した口腔ケア
気管切開をされているOさんは 自動血圧測定モニターを確認しながらのケア。
ケアの後は舌の運動のために氷を1つお口の中へ・・・
誤嚥しない姿勢を保つために!
このときも今川歯科衛生士は
声かけを忘れません
ビバラック卒業生
現在は、歯ブラシと歯間ブラシを使用時する際に、唾液を吸引する目的のみで使用。
「天皇陛下でもこんなことはしてもらえないだろう!」と今川歯科衛生士の口腔ケアに大満足の木村様
ビバくるりんも大活躍!
お口の中の食渣の除去
ビバくるりんの長い柄を利用し
奥の汚れもきれいに除去
乾燥した口腔内の痰の汚れもきれいに除去
口腔ケア道具の後処理
使用したビバラックの部品やコップや
ガーグルベースンは薬液消毒を行う。
口腔ケアのワゴンはナースステーションへ
今川歯科衛生士のもうひとつの口腔ケア
今川歯科衛生士はビバラックシリーズを使用した口腔ケアだけではなく、いろいろな道具を使用してリハビリを行っています。その一部をご紹介いたします。
動作 | 目的 | 使用方法 | 効果 |
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・ストロー使用 | ・呼吸のタイミング ・ 回復 |
ストローを吹く (ブローイング) |
呼吸のタイミングの回復 口輪筋の強化 |
・吹き戻し (巻き取り) |
・呼吸のタイミング ・回復 |
食事前に回数を 決めて拭いてもらう |
呼吸のタイミングの回復 口輪筋の強化 |
・声を出す ※出来るだけ 会話をする |
・口腔機能の向上 | 唾液の分泌、増量、舌の動き、口輪筋が鍛えられる | |
・音楽を聴く | ・精神的苦痛を 和らげる ・声の発生 |
口腔ケアをしている ときに音楽をかける |
自然に声が出るようになったり、表情が変わる |
・補助 ・ヘッドレスト |
・首の保持 ・安定する |
車椅子、ベッドに とりつける |
姿勢がよくなるので、食事がしやすく、呼吸も楽になり、ケアがしやすく、うがいができるようになる |
吹き戻し(巻き取り)
おもちゃの利用で童心に返って楽しんで頂けます!
安頭台
心頭の安定が保持でき、食事や口腔ケアが行いやすくなります!
今川歯科衛生士より
現在、医療の現場で入院患者さんを対象に口腔ケアを行っていますが、そこで感じたことは高齢者の方々の口の中があまりにも汚いのには驚かされました。特に寝たきりの患者さんや障害を持った方の口の中は睡液の分泌量が低下していて、自浄作用が困難であるために、口腔内は汚れており、口臭もひどく細菌が繁殖しやすい環境になっています。 口腔内の細菌が増殖すると、それが原因で誤嚥性肺炎を起こす可能性が高くなり、全身にも悪影響を及ぼし様々な障害を発生する事になります。口腔内の細菌を取り除くには口腔清掃が有効な手段となります。口腔ケアは肺炎を予防するだけではなく虫歯・歯周病の予防・口臭の予防・睡液分泌の促進・味覚低下の改善・更には院内感染(MRSA)の予防にも大きな関わりあいがあります。特に意識障害をもった患者さまや機能レベルの下がった患者さまに対しては誤嚥をさせてはいけないので、慎重かつ安全に実施しなければなりません。その点、ビバラックは吸引力がより優れ、水を流しながらの清掃も可能なので患者様の爽快感は格別のものだと思います。但し、忘れてはならないのは口腔ケアだけでなく心のケアも不可欠な要素です。これからも一人でも多く人間らしく口から食べられるようにサポートしていきます。
今川歯科衛生士の病院以外での活動
今川歯科衛生士は豊中ひかり病院のお仕事とは別に各地でのセミナーや、雑誌の取材などで活躍されています。
地域を対象に施設でセミナー
歯科医師会で開催されたセミナー
デンタルハイジーン6月号に今川歯科衛生士の記事が掲載されています。
ぜひご覧ください!
『質の高い口腔ケアをめざして・・・』
ビバラックレポート第7号は、大阪府豊中市にある『医療法人全心会豊中ひかり病院』を訪問しました。
こちらの病院は現場に「歯科」をということで2年前より入院されている患者様に対し、専門的な口腔ケアを提供する今川歯科衛生士が採用されました。
今川歯科衛生士は、患者様の体調を把握しなが口腔ケアやお口のリハビリしています。あるときオペ後の患者様の回復が思わしくないとのことで、患者様の栄養に目を向けるようになり、栄養状態を確認し、栄養管理や栄養状態の改善が必要な患者さんは毎日の申し送りで医師・看護師さんにお伝えするようになりました。このとき以来、オペ後の患者様の回復もよくなり、口腔ケア、栄養状態だけでなく、食事の摂取方法も看護師さんと一緒に管理するようになったとのことです。毎日ほぼ全員の患者様と接することとなる今川歯科衛生士は患者様と医師、看護師の橋渡しとなり、病院中で口を通して様々な役目を果たされています。
また、口腔ケアでは患者様のその日の体調に合わせて道具や方法を変えて行えるようにベッドサイドのワゴンには様々な口腔ケアの道具がいつでも使用できるように揃えられています。そのワゴンの中心にビバラック、そしてその下の段にはビバくるりんも準備されていました。
今川歯科衛生士は、各患者様にあった道具を選択し口腔ケアを行っていますが、ほぼ全員の方に対しても共通で行っていることがあります。それはビバラックの吸引を利用することです。患者様が誤嚥しないよう安全を確保するため、ビバラックの歯ブラシ部分を使用する以外でも(普通の歯ブラシを使用する時も、ビバくるりんを使用する時も)ビバラックの吸引チップを添えて確実に吸引をしながら口腔ケアを行っています。吸引を利用することによって口腔内のお水、食渣や唾液などはしっかり吸引でき、患者様に不安を与えず、また今川歯科衛生士自身も安心して口腔ケアができるとおっしゃていました。
1日と限られた時間の中で出来るだけ多くの患者様に安全で適切な口腔ケアを提供するために今川歯科衛生士はビバラックシリーズの特徴を最大限に利用されています。
様々な口腔ケア道具が販売されていますが、それぞれの特徴を上手く使い分け、質の高い口腔ケアで、美味しく、楽しく、安全な食生活の営みを目指していただきたいと思います。
鞄結梛Z研 歯科衛生士 中山かな子
ビバ子のワンポイントアドバイス!
挿管患者
人口呼吸装着患者
ターミナルケア
末期癌(がん)など、回復の見込みのない患者の苦痛を緩和し、精神的に支え、生を全うできるように行う介護・医療。
咽頭培養検査
患者の咽頭をぬぐった綿棒から、感染症の原因微生物を単離、同定すること
気管切開
気道確保のため、頸部(けいぶ)の気管軟骨を切開すること