口腔ケアの実践
保湿からはじまる口腔ケアの手順
1.常時の保湿
- スポンジブラシを水で湿らせる。(スポンジから水が垂れない程度に)
- スポンジブラシに湿潤剤を適量(2cm程度)取り出す。(下写真a-1)
- 口唇全体に塗布する。(下写真a-2)
- 口蓋・頬粘膜・舌などの口腔粘膜全体に塗布する。
※数時間ごとに塗布すると、保湿効果が高まる。
2.残存歯のケア
A 通常の歯ブラシを使用する場合
- 歯ブラシに湿潤剤を1cmほど出す。
- 残存歯全体に薄く伸ばすように塗布する。
- 歯面と歯と歯肉の境目・歯間部を重点的にブラッシングする。
- ブラッシングが終わったら、歯ブラシでジェルをすくい取り、コップの水で洗うか、ペーパータオルなどで拭き取り、湿潤剤を口腔内から回収する。
B 注水・吸引歯ブラシを使用する場合
- 歯ブラシに湿潤剤を1cmほど出す。
- 残存歯全体に薄く伸ばすように塗布する。
- 吸引機能のスイッチを入れ、残存歯のブラッシングを行なう。
ブラッシングは、歯面と歯と歯肉の境目・歯間部を重点的にブラッシングする。 - ブラッシングが終わったら、注水しながら、湿潤剤を吸引する。
3.粘膜のケア
A 剥離上皮の除去方法
- スポンジブラシに湿潤剤を少量取り出す。(スポンジは湿らせない。)
(上写真a-1) - 除去したい剥離上皮に口腔湿潤剤を塗布する。(上写真a-3)
塗布は少し圧力をかけて、広げる気持ちで、後方から前方に向って塗布すると垂れにくい。剥離上皮が厚く、乾燥している場合は、塗布して軟化させながら、何回か行なう。 - 保湿、軟化した部分からスポンジブラシを回転させながら、からめ取るように除去する。除去しにくい剥離上皮は、スポンジのエッジ部を利用し、前方に向ってはがす。(上写真a-4)
- スポンジブラシに付着した剥離上皮を洗い流すか、拭き取る。
(利き手でスポンジブラシを保持し、反対の手でカーゼなどを持つと効率的です。) - 湿潤剤を口腔粘膜全体に塗布して、保湿をする。
常時の保湿がされていない場合は、
湿潤剤を塗布してしばらく時間をおくと良いですよ!
B 粘膜のマッサージ方法
- スポンジブラシを水で湿らせる。(スポンジから水が垂れない程度に)
- スポンジブラシに湿潤剤を適量(2cm程度)取り出す。(上写真a-1)
- 口蓋・頬粘膜・舌などマッサージを行なう場所に、口腔粘膜全体に塗布する。
- 後方から前方に向ってマッサージを行なう。湿潤剤は垂れないように少量ずつ使用する。
- 刺激唾液が認められたら、誤嚥を防ぐために、湿潤剤の量を少なくする。
※ケアを継続すると、唾液が出るようになることがある。
マッサージは、口腔粘膜が保湿されている時に行ないましょう。
- 次項 症例